このページの要点
- 家賃を取らない建物の貸し借りは使用貸借。借地借家法は建物の賃貸借の更新や効力を定める法律で(同法1条)、使用貸借の借主を同じようには保護しない。
- 共同住宅では、占有者にも共同の利益に反する行為の禁止が及び、規約に基づく使用方法の義務も区分所有者と同一に負う(区分所有法6条3項、46条2項)。
- 鍵、同居人、来客の宿泊、ペット、模様替えは、民法594条の枠で、承諾が要る事項と連絡でよい事項に分けて書いておく。
- 退去を求めるときは、期間・目的の定めの有無で根拠が変わる(民法597条・598条)。猶予と鍵の返却まで書面で決める。
結論:無償で住まわせる約束は借地借家法の「建物の賃貸借」ではなく、使用貸借の条文で動く。管理規約・鍵・同居人・退去の求め方を、書面で補う
子どもや親、きょうだい、友人に、空いている部屋や実家、使っていない家を、家賃を取らずに使わせている。あるいは、そうして住まわせてもらっている。こうした貸し借りは、「家賃を取らないのだから、契約書までは要らない」と考えられがちです。しかし、住まいは、物の貸し借りの中でも、貸す側にとっても借りる側にとっても、生活と財産の重みが大きい場面です。出ていってほしいと思ったとき、借りる側が住み続けたいと思ったとき、建物が共同住宅のときは管理規約との関係で、何が起きるかが、人によって違って理解されています。このページの要点は、次のとおりです。
- 家賃を取らずに建物を貸す約束は、使用貸借(民法593条以下)である。借地借家法は、建物の賃貸借について更新や効力などを定める法律で(借地借家法1条)、使用貸借の借主を同じように保護する条文は置かれていない。
- 貸主の側から見ると、期間も目的も決めていなければ、いつでも契約を解除できる(民法598条2項)。ただし、住んでいる人の生活がかかるため、返還までの猶予をどう置くかが現実の問題になる。
- 分譲マンションなどの区分所有建物では、区分所有者は、建物の管理・使用に関して共同の利益に反する行為をしてはならず、この規定は専有部分の占有者にも準用される(建物の区分所有等に関する法律6条1項・3項)。借主は、管理規約に基づく使用方法の義務を、区分所有者と同一に負う(同法46条2項)。
- 鍵の本数、同居できる人、来客の泊まり、ペット、模様替えや工事は、民法594条(用法と第三者への使用)の枠で、書面に具体的に書いておく。
- 実費の名目と、通常の必要費の扱いは別のページで扱う。ここでは、生活の費用の「名義」と精算の流れに絞る。
金額の負担の考え方は「無料で貸す」の境目、期間と解除は貸す期間と「返して」のとき、傷や設備の撤去は貸し借りの費用と、壊れた・汚れたときで詳しく扱っています。借主が亡くなったとき、貸主が亡くなったとき、貸した家が売られたときの扱いは、それぞれ貸主・借主が亡くなったとき、貸した物・家が売られたときで説明します。
無償で貸す建物は、借地借家法の建物賃貸借とは別の枠で動く
建物を貸す約束を結ぶとき、まず確かめたいのは、それが使用貸借なのか、賃貸借なのかです。借地借家法1条は、この法律が、建物の所有を目的とする地上権や土地の賃借権の存続期間、効力等、そして「建物の賃貸借の契約の更新、効力等」に関し、特別の定めをするものだと述べています。条文の対象は賃貸借で、賃料を受け取らない使用貸借は入っていません。
賃貸借と使用貸借のどちらかは、題名ではなく、実態で判断されます。家賃を取っていなくても、借主が毎月まとまった金額を支払っていて、それが実費を超えて賃料にあたると見られれば、賃貸借と評価される余地があります。その場合は、借地借家法の更新や正当の事由の規定が働き得ます。境目の考え方は「無料で貸す」の境目で整理しています。
無償で建物を貸す場合と、賃料を取る建物賃貸借の違い
| 使用貸借(無償) | 建物の賃貸借(賃料あり) | |
|---|---|---|
| 貸主からの解約 | 期間も目的も定めなければ、いつでも解除できる(民法598条2項)。目的を定めたときは、足りる期間が過ぎれば解除できる(同条1項)。 | 貸主からの解約の申入れは、申入れから六月で終わるが(借地借家法27条1項)、正当の事由が必要である(同法28条)。 |
| 更新 | 更新の規定は置かれていない。更新したければ、合意で新しい期間を決める。 | 期間の定めがある場合、更新しない旨の通知がなければ、従前と同一の条件で更新されたものとみなされる(借地借家法26条1項)。 |
| 貸主による修繕 | 貸主に修繕の義務を課す規定はない。 | 貸主は、使用・収益に必要な修繕をする義務を負う(民法606条1項)。 |
| 借主の費用 | 通常の必要費は借主が負担する(民法595条1項)。 | 貸主が負担すべき必要費は、借主が支出したときに直ちに償還を請求できる(民法608条1項)。 |
| 建物が売られたとき | 使用貸借に、賃貸借の対抗力に当たる規定はない。 | 建物の引渡しがあれば、その後に物権を取得した者に対し効力を生ずる(借地借家法31条)。 |
| 借主が亡くなったとき | 使用貸借は終了する(民法597条3項)。 | 賃借権は当然には終わらないと解されている。詳細は別ページで扱う。 |
表は条文の要旨を並べたものです。売られたときの扱いは貸した物・家が売られたとき、死亡の場合は貸主・借主が亡くなったときで詳しく扱います。
この表から読み取れるのは、使用貸借は、借主にとって保護が薄い契約だということです。長く住むつもりで入居したのに、期間も目的も決まっていなければ、貸主はいつでも解除できます。貸主の側も、住んでいる人を保護する規定がない代わりに、貸主の都合で自由に返してもらえるわけではなく、決めた期間や目的、貸した経緯が、返還の可否に影響し得ます。当事者の期待のずれを防ぐには、家賃を取らないことと、いつまで住まわせるかを、書面ではっきり書くことが基本です。
マンションなどの管理規約:貸主も借主も、規約を守る立場に置かれる
貸す部屋が分譲マンションの専有部分であれば、管理規約と使用細則が、貸し借りの条件に大きく影響します。区分所有法6条1項は、区分所有者が、建物の保存に有害な行為その他、建物の管理または使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない、と定め、同条3項は、この規定を、区分所有者以外の専有部分の占有者に準用しています。借主は、この「占有者」に当たり得ます。
さらに、同法46条2項は、占有者は、建物またはその敷地もしくは附属施設の使用方法につき、区分所有者が規約または集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う、と定めています。たとえば、管理規約が、専有部分を専ら住居として使うこと、ペットの飼育を制限すること、楽器の使用時間を定めることなどを定めていれば、借主にも同じ義務が及びます。借主が規約を知らなかったとしても、義務が当然に免除されるわけではありません。貸主は、貸す前に、管理規約と使用細則の写しを借主に渡し、渡したことを書面に書いておくのが、実務でよく見られる備えです。
条文建物の区分所有等に関する法律
- 6条1項区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他、管理・使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。
- 6条3項前項の規定は、区分所有者以外の専有部分の占有者に準用する。
- 46条2項占有者は、建物・敷地・附属施設の使用方法につき、区分所有者が規約・集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。
- 57条4項占有者が共同の利益に反する行為をした場合・するおそれがある場合に、停止等の請求の規定を準用する。
- 60条占有者による障害が著しく、他の方法では除去が困難なとき、集会の決議に基づき、訴えをもって、専有部分の使用・収益を目的とする契約の解除と引渡しを請求できる。
条文は趣旨を要約したものです。規約や集会の決議が具体的に何を定めているかは、管理組合の資料で確認してください。
最後の60条は、占有者による共同生活上の障害が著しく、他の方法ではその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の共同生活の維持を図ることが困難であるときに、区分所有者の全員または管理組合法人が、集会の決議に基づき、訴えをもって、占有者が占有する専有部分の使用または収益を目的とする契約の解除と専有部分の引渡しを請求できる、というものです。借主の行為が原因で、貸主自身が管理組合から責任を問われたり、契約の解除を求められる流れが、制度としてあり得るということです。貸主にとっては、借主に管理規約を守らせる責任を、借主にとっては、規約違反が住まいを失う事態につながり得る点を、書面でお互いに確認しておく意味があります。
確認の問いと理由管理規約と使用細則について、貸す前に確かめる問い
規約で、専有部分を貸すことに制限や届出の定めがあるか。
管理組合への届出、借主の連絡先の報告、誓約書の提出などを求める規約がある。貸す前に、規約を確認する。
専有部分の使い方に、制限はあるか。
住居専用、ペットの飼育、楽器や音の出る機器、リフォーム工事の届出、共用部分の使い方など。借主にも同じ義務が及ぶ(区分所有法46条2項)。
借主に、規約と使用細則を渡したか。
渡した日と範囲を、契約書または確認書に書く。借主が「聞いていない」と言う事態を避ける。
規約違反があったとき、誰が管理組合に対応するのか。
一次の窓口は貸主になることが多い。連絡先、対応の手順、費用の負担を決めておく。
駐車場・駐輪場・専用の置き場は、貸す範囲に入るのか。
管理組合が別に契約している場合が多い。貸す範囲に含めないなら、含めない旨を書く。
鍵・同居人・来客・ペット・模様替え:民法594条の枠で、具体的に決める
民法594条は、借主は契約または目的物の性質によって定まった用法に従って使用・収益しなければならず(1項)、貸主の承諾を得なければ第三者に使用・収益をさせることができず(2項)、これらに違反して使用・収益をしたときは、貸主は契約を解除できる(3項)、と定めています。この条文を、住まいの貸し借りに当てはめたとき、具体的に何を決めておくかを整理します。
場面別:住まいの貸し借りで起きがちなことと、書面に残す項目
起きがちなこと合鍵をつくり、貸主の知らない人が入れる状態になった。貸主が、借主に断りなく入ってきた。
書面に残す項目渡す鍵の本数、合鍵をつくることの可否、貸主が立ち入る場合の手順(事前の連絡、緊急時)。
起きがちなこと借主が、恋人や友人を同居させた。借主の家族が増えた。
書面に残す項目同居できる人の範囲(借主本人のみ、配偶者と子まで、など)、変更するときの承諾の手続。
起きがちなこと来客の泊まりが長期になった。宿泊を伴う利用に提供された。
書面に残す項目来客の宿泊の可否と日数の目安、宿泊の用に提供することの禁止。
起きがちなこと管理規約で許されていない動物を飼い始めた。数が増えた。
書面に残す項目飼育の可否、種類・数、管理規約の遵守、周囲への迷惑が生じたときの措置。
起きがちなこと壁を塗った、設備を取り替えた、間取りを変えた。
書面に残す項目工事の事前の書面承諾、費用の負担、返すときの扱い(取り外し、補修)。
起きがちなこと借主宛の郵便が貸主に届く。表札や宛先の表示をめぐって行き違った。
書面に残す項目郵便物の受け取りと転送の方法、表札や表示の可否。
これらの事項を一つひとつ細かく規定すると、かえって親族間では息苦しい契約になってしまいます。大切なのは、「あらかじめ貸主の承諾を得る事項」と「事後に連絡すればよい事項」と「自由にしてよい事項」を、大まかに三つに分けて書くことです。たとえば、同居人の変更は承諾が必要、来客の宿泊は連絡のみ、日常の家具の配置は自由、といった具合です。
書き方の例(一般的な例) 住まいの条項の書き方の例
同居人
理由「第三者」の範囲が曖昧だと、親族の出入りまで禁止に読める。継続して住むことと、来客を分けて書く。
立ち入り
理由無償で住まわせる関係でも、住まいへの立ち入りは生活への影響が大きい。理由と手順を書く。
模様替え
理由禁止だけでなく、許す場合の手順と返すときの扱いを書く。民法599条の取り外しの規定と整合させる。
生活の費用の名義と精算:電気・ガス・水道・通信・保険
通常の必要費を借主が負担すること(民法595条1項)と、実費の名目が賃料と見られないかという問題は、別のページで扱います。ここでは、住まいの貸し借りでよく出てくる「誰の名義で契約するか」と「どう精算するか」という実務の部分に絞ります。
生活の費用の名義と精算の考え方(一般的な例)
| 費用 | よくある名義 | 書面に書いておくこと |
|---|---|---|
| 電気・ガス・水道 | 借主が事業者と契約し、使用量に応じて直接支払う。貸主名義の契約を借主が使うときは、実費を精算する。 | 契約の名義、検針の方法、貸主名義のときの精算の頻度と方法、退去時の最終検針と解約の手続。 |
| インターネット・電話 | 借主が契約する。 | 名義、解約の手続、設備の撤去、貸主の契約を使うときの費用の分担。 |
| 管理費・修繕積立金(共同住宅) | 管理組合に対しては区分所有者が支払う。借主が実費を負担するかどうかは、契約による。 | 借主が負担するか、負担する場合の名目と金額の決め方、請求と支払の方法(実費の名目は無償の境目)。 |
| 火災保険 | 建物は貸主が加入し、借主は家財について加入するのが一般的。 | 誰が何について加入するか、保険証券の写しの交付、借主の賠償責任を含む補償の有無、自己負担部分の負担者。 |
| 駐車場・駐輪場の使用料 | 管理組合や所有者が別に契約していることが多い。 | 貸す範囲に含めるか、含める場合の負担と手続。 |
名義の問題は、退去のときに現れます。電気やガスの契約が貸主の名義のままで、借主が退去しても止められていない、水道代の精算が済んでいない、といった行き違いは、小さい金額でも信頼関係に影響します。契約書または別紙に、退去のときの最終の検針、名義の変更または解約、精算の期限を書いておくと、安心です。
建物の欠陥や火災:借主が先に責任を問われることがある
住まいの貸し借りでは、建物そのものに欠陥があって他人に損害が生じる場面があります。たとえば、外壁の一部が落ちて通行人がケガをした、ベランダの手すりが壊れて下の人に損害が出た、といった場合です。民法717条1項は、土地の工作物の設置または保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者が、被害者に対して損害を賠償する責任を負い、ただし占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない、と定めています。借りて住んでいる人は、建物の占有者に当たり得るので、まず借主が責任を問われ、借主が必要な注意をしていたと言えるときに、所有者である貸主が責任を負う、という構造です。
この構造が示すのは、建物の傷み方や不具合を、貸主と借主のどちらが把握し、どちらが対応するかを、貸す段階で分担しておく必要があるということです。貸主は、貸す時点で分かっている不具合を書面に書き、借主は、気づいた不具合を貸主に連絡する。この二つを書いておくだけでも、責任の所在が整理しやすくなります。火災や漏水については、保険の確認が重要です。建物の火災保険は貸主、家財と、借主の賠償責任の補償は借主が検討するのが一般的ですが、実際の補償の範囲は、保険証券と約款で確かめてください。
退去を求める、退去する:期間・目的の定めで変わる進め方
住まいの貸し借りで、最もこじれやすいのは、終わらせるときです。民法の考え方は、前のページで整理した終わり方の規定のとおりです。ここでは、住まいに当てはめた場合の整理をします。
住まいの貸し借りの終わらせ方
貸主が、出ていってほしいと思ったとき、まず何を確認するか?
- 期間を決めている満了するまでは待つのが基本期間が満了すれば終わる(民法597条1項)。期間の途中で返してほしければ、借主の合意や、用法違反などの別の根拠が必要になる。
- 期間はないが、目的を決めている(例:子どもの就職まで)目的を終えた、または足りる期間が過ぎたら解除できる民法597条2項、598条1項。「足りる期間」は事情によって異なるため、見直しの時期を書面で決めておく。
- 期間も目的も決めていない貸主はいつでも解除できる民法598条2項。返還までの猶予の長さを話し合って決める。
- 実際は賃料を受け取っている賃貸借と評価され得る借地借家法の規定が働き得る。解約には正当の事由が必要になる場合がある(同法28条)。
期間と解除の詳しい整理は貸す期間と「返して」のときをご覧ください。
条文上、期間も目的も決めていなければ貸主はいつでも解除できますが、現実には、住んでいる人に新しい住まいを探す時間が要ります。「返して」と伝えるときは、解除の意思表示の日付が残る形で、返してほしい日(猶予を置いた日)、鍵の返却、荷物の搬出、電気やガスの手続、原状の確認の方法を、順に伝えるのが現実的です。話し合いがついたら、退去日、鍵の返却、残された荷物の扱い、未精算の費用の有無を書いた退去の合意書を作ります。
退去を求めてから鍵を返すまで
- 話し合い貸主の事情と、借主の事情(探す期間、費用)を、顔を合わせて、または書面で伝え合う。
- 書面での通知解除の旨、返してほしい日、手続の流れを書く。メッセージや郵便で、日付が残る形にする。
- 猶予の期間借主が新しい住まいを探し、引っ越す期間。期間を区切り、中間の連絡の機会を設ける。
- 退去の合意書退去日、鍵の返却、残置物の扱い、光熱費の最終精算、返すときの状態の確認を書き、署名する。
- 引渡しの日貸主と借主が立ち会い、写真で状態を残し、鍵を返却する。確認書に署名する。
話し合いがうまくいかないとき、鍵を取り替えて中に入れなくする、荷物を勝手に運び出すといった実力による解決は、後から損害の賠償などの問題を生むおそれがあります。合意に至らないときの進め方は、裁判所の手続を通じた解決という道筋が制度上は用意されていますが、このページでは扱いません。大切なのは、そこに至る前に、貸すときの書面で、期間・目的・猶予を決めておくことです。
起きがちなこと:住まいの貸し借りのすれ違い
住まいの貸し借りでよく見られるすれ違い(一般的な傾向)
- 期間も目的も決めずに住まわせ、数年後に貸主が自分で使いたくなったが、借主は長く住めると思っていた。
- 管理規約の内容を借主に伝えておらず、規約違反が見つかり、貸主が管理組合から対応を求められた。
- 合鍵がつくられ、貸主の知らない人が出入りしていた。
- 同居人が増え、来客の宿泊が長期になり、貸主が承諾していないと主張した。
- 光熱費の契約名義が貸主のままで、退去後も契約が止まらず、請求が続いた。
- 実費の名目で毎月まとまった金額を受け取っていて、賃貸借と評価され得る状態になり、貸主から自由に返還を求められなくなった。
- 借主が模様替えをし、返すときに、取り外すか残すか、費用を精算するかで食い違った。
- 退去の通知を口頭で済ませ、いつ何を伝えたのか、お互いの記憶が違った。
どれも、貸すときに「いつまで」「誰が」「何をどこまで」を書いていれば、避けやすい行き違いです。契約書の骨組みは使用貸借契約書の書き方で、すでに揉めているときの整理は個人間の貸し借りでトラブルになったとき・よくある質問で扱っています。
よくあるご質問
家賃を取らずに親族に部屋を貸している場合、借地借家法は適用されますか。
借地借家法は、建物の賃貸借について更新や効力などを定めた法律で(同法1条)、家賃を取らない使用貸借は、その対象に入っていません。ただし、題名が使用貸借でも、毎月の支払が実費を超えて賃料にあたると見られれば、賃貸借と評価される余地があります。無償か有償かの境目は、支払の名目と金額、実際の運用で判断されるため、書面と実態をそろえておくことが大切です。
マンションの部屋を貸す場合、借主にも管理規約の義務はありますか。
区分所有法46条2項により、占有者は、建物・敷地・附属施設の使用方法について、区分所有者が規約や集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負います。また、同法6条3項により、共同の利益に反する行為の禁止も占有者に準用されます。借主が規約を知らなかったとしても義務が免除されるわけではないため、貸す前に規約と使用細則の写しを渡し、その旨を書面に書いておく備えが有効です。
期間を決めずに住まわせている子に、出ていってもらうことはできますか。
期間も使用の目的も決めていなければ、民法598条2項により、貸主はいつでも契約を解除できます。ただし、住んでいる人の生活がかかるため、返還までの猶予の長さを話し合って決めるのが現実的です。「子どもが就職するまで」のように目的を決めていた場合は、目的を終えるか、足りる期間が過ぎたときに解除できます(民法597条2項、598条1項)。解除の通知は、日付が残る形で行ってください。
借主が勝手に同居人を増やしました。契約を解除できますか。
借主は、貸主の承諾を得なければ、第三者に借用物を使用・収益させることができず、違反したときは貸主が契約を解除できます(民法594条2項・3項)。ただし、同居の家族が使うことまで「第三者」に当たるのかは、物の性質と貸した目的によります。そのため、契約書で、同居できる人の範囲と、変更するときの承諾の手続を決めておくことが重要です。
住まわせている人が管理規約に違反したら、貸主はどうなりますか。
占有者にも、区分所有法6条1項の禁止が準用され(同条3項)、規約の使用方法の義務が及びます(同法46条2項)。占有者の行為により共同生活上の障害が著しく、他の方法では除去が困難なときは、集会の決議に基づき、占有者が占有する専有部分の使用または収益を目的とする契約の解除と引渡しを訴えで請求される制度もあります(同法60条)。貸主は、借主に規約を守らせる責任を意識し、対応の手順を書面で決めておくとよいでしょう。
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本ページは一般的な情報提供です。個別の貸し借りへの当てはめは、貸す物や場所、当事者の関係、合意の内容によって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の当事者や取引を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索(法令API)で確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 法務省 / 国土交通省 / 裁判所