友人・家族に車を貸す・借りる:免許・保険・事故と違反・返却の決め方

車の貸し借りは、民法の使用貸借に加えて、道路運送法・道路交通法・自賠法が関わります。貸す前に決めておきたい4点を、条文に沿って整理します。

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結論:車は、無償か実費か(道路運送法80条1項)、免許と飲酒の確認(道路交通法64条2項・65条2項)、保険の運転者の範囲、事故と違反の連絡・負担、返却時の状態の記録、の5点を貸す前に決めます。貸主の責任は一概に言えないため、当事者間の取り決めが重要です。

このページの要点

  • 有償貸渡しの規制は「業として有償で」(道路運送法80条1項)。使用の対価を受け取る形は避け、燃料代など借主の利用に伴う費用は借主が負担する。
  • 免許のない人、酒気を帯びた人への提供は禁止(道路交通法64条2項・65条2項)。実際に違反運転をされた場合は罰則の対象になる。
  • 任意保険は運転者の範囲・年齢条件を証券と約款で確認する。自賠責は車ごとに契約が必要(自賠法5条)。
  • 放置違反金は車の使用者に命じられ得る(道路交通法51条の4第4項)。連絡と負担の取り決めを書面に入れ、返却時の傷は一緒に確認して記録する。

結論:車は「貸したら終わり」にならない。免許・保険・事故と違反・返却の4点を貸す前に決める

友人が旅行の間だけ車を貸してほしいと言う。家族に車を貸したら、駐車違反の通知が届いた。貸した車で事故が起きたと連絡があった。車は、カメラや工具のような物の貸し借りと比べて、第三者に被害を与える危険が大きく、貸した側にも法律上の問題が及ぶ場合があります。民法の使用貸借のルールに加えて、道路運送法、道路交通法、自動車損害賠償保障法といった法律が関わるからです。

車の貸し借りを書面にするときに、貸す前に決めておきたいのは、次の4点です。

  1. 貸すのは無償か、実費をもらうか。お金を受け取る場合に、有償貸渡しの規制(道路運送法80条)との関係をどう考えるか。
  2. 運転する人が、運転免許を持ち、酒気を帯びていないか。確認せずに貸すと、貸した側にも刑事上の問題が及ぶ場合があること。
  3. 保険は誰のどの契約で、誰が運転すると補償の対象になるか。
  4. 事故・違反が起きたとき、誰が何を負担するか。返却時の状態をどう確認するか。

このページは、個人どうしの車やバイクの貸し借りに絞っています。レンタカー事業や、事業者向けの車両リースは対象外です。物の貸し借りの共通の型は個人間の貸し借りの全体像のページに、実費をもらう場合の無償性の考え方は「無料で貸す」の境目のページにあります。

無償か実費か:自家用自動車の有償貸渡しの規制

自分の車を人に貸すとき、お金を受け取ってよいのか、という疑問があります。ここで確認が必要になるのが、道路運送法80条1項です。

条文道路運送法

  • 80条1項自家用自動車は、国土交通大臣の許可を受けた場合を除き、業として有償で貸し渡してはならない。

条文は要旨で記載しています。許可の範囲や例外など、細部は原文と国土交通省の資料で確認してください。

条文の文言は「業として」「有償で」「貸し渡す」です。いわゆるレンタカーの事業のように、反復継続して対価を受け取って貸す場合が典型的な想定です。他方、友人に一度車を貸して、ガソリン代を出してもらう、という場面が条文の「業として有償で」に当たるのかどうかは、条文の文言だけでは割り切れない部分があり、所管官庁(国土交通省)の公表資料や解釈を確認する必要があります。

書面を作る側の工夫としては、次のような整理が考えられます。

  • 貸すのは無償とし、貸主は対価としてのお金を受け取らない、と明記する。
  • 借りた人が自分の利用のために払う費用(燃料代、高速道路料金、駐車料金など)は、借主が負担する(民法595条1項:通常の必要費)。貸主が受け取る形にしない。
  • 継続的・反復的に貸して対価を得る形(毎月定額の使用料など)にしない。
  • お金を受け取る合意が必要な場合は、法令の確認を先に済ませる。

なお、貸主が実際に負担した費用(給油の実費など)を借主が精算することと、使用の対価としてお金を受け取ることは、区別して考えます。区別の考え方は、無償の境目のページで説明した内容と同じです。

貸す前の確認:運転免許と、酒気帯びのおそれ

貸す前に、まず確認しておきたいのは、運転免許と、運転する人の状態です。道路交通法は、運転する人本人だけでなく、車を提供する人も禁止の対象にしています。

条文道路交通法

  • 64条2項運転免許を受けないで自動車等を運転することとなるおそれがある者に対し、自動車等を提供してはならない(免許の効力が停止されている場合も含む)。
  • 65条2項酒気を帯びている者で、車両等を運転することとなるおそれがあるものに対し、車両等を提供してはならない。
  • 117条の2の2第1項2号64条2項に違反した者は、提供を受けた者が実際に無免許運転をした場合に限り、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金。
  • 117条の2第1項2号65条2項に違反した者は、提供を受けた者が酒に酔った状態で運転した場合に限り、5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金。
  • 117条の2の2第1項4号65条2項に違反した者は、提供を受けた者が政令で定める程度以上のアルコールを保有する状態で運転した場合に限り、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(酒に酔った状態の場合を除く)。

罰則の対象となる範囲は、提供を受けた者が実際に違反運転をした場合に限られます。条文は要旨で記載しています。

罰則は、提供を受けた人が実際に運転した場合に限られていますが、だからといって確認を省いてよいわけではありません。免許を失効している、停止中である、運転できる車の種類の免許ではない、といった事情を、貸す前に把握していれば、そもそも貸さずに済みます。貸す前の確認項目は、書面にも残しておくと、貸した側の判断の経緯を示す資料にもなります。

貸す前に確認したいこと(運転する人について)

  • 運転免許証の現物を見て、有効期限と、運転する車の種類に対応した免許かを確認した(免許停止中ではないことも、本人に確認した)。
  • 運転する人の名前を書面に書いた。書いた人以外には運転させない、と決めた。
  • 借りる当日、飲酒していないか。貸す前後に、飲酒の機会がある場合は、運転しないことを確認した。
  • 運転する人の運転経験や、普段運転しているかを聞いた(運転が久しぶりの人に、大きな車や慣れない車を貸さない)。
  • 運転する人が複数になる場合は、全員の氏名と免許を確認した。

保険:自賠責は車ごと、任意保険は証券と約款で確認する

車の貸し借りで、いちばん後から困りやすいのが保険です。貸す前に、どんな保険が、誰のどの契約でついているかを確認します。

車に関わる保険の確認

保険の種類条文・位置づけ確認すること
自賠責保険(強制保険)自動車は、責任保険または責任共済の契約が締結されているものでなければ、運行の用に供してはならない(自動車損害賠償保障法5条)。違反には1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の定めがある(86条の3第1項1号)。車検証と一緒に備える証明書で、有効期間が切れていないかを確認する。
任意保険(自動車保険)契約者が任意に加入する保険。補償される人の範囲、年齢条件、他の車を運転したときの特約などは、契約ごとに異なる。保険証券と約款で、運転者の範囲(本人限定、家族限定、限定なし)、年齢条件、他の人が借りて運転した場合に補償されるかを確認する。
借りる人自身の保険借りる人の保険に、他人の車を運転したときの特約がついている場合がある。特約の有無と、補償の範囲を借りる人に確認してもらう。

任意保険は、運転者の範囲や年齢条件に当てはまらない人が運転すると、補償されないことがあります。たとえば、運転者を家族に限定する契約で、友人が運転して事故を起こした場合、その契約で補償されるかが問題になります。実際にどうなるかは、保険会社の約款と契約内容によりますので、貸す前に、保険証券と約款を確認します。確認の結果、補償の対象にならないときは、貸さない、または借りる人に対象になる保険を用意してもらう、という判断が必要になります。

保険は、書面にも反映します。「貸主の保険の運転者の範囲は○○である」「借主はその範囲外の人に運転させない」「借主は、自分の保険に他の車を運転したときの特約がある場合、事故時にその保険の利用を検討する」といった記載です。

事故が起きたとき:責任の考え方と、貸す側にも及ぶ可能性

貸した車で事故が起きたとき、貸した人が責任を負うのか、は多くの人が気にする点です。ここは、条文からは一概に答えられない部分があります。

条文自動車損害賠償保障法・民法

  • 自賠法3条自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によって他人の生命または身体を害したときは、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。ただし、自己と運転者が注意を怠らなかったことなどを証明したときは、この限りでない。
  • 自賠法2条3項保有者:自動車の所有者その他自動車を使用する権利を有する者で、自己のために自動車を運行の用に供するもの。
  • 民法709条故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

自賠法3条は、人の生命・身体を害した場合の定めです。物への損害(他の車や建物の損壊)は、民法の不法行為(709条)などで判断されます。

自賠法3条は、「自己のために自動車を運行の用に供する者」に責任を負わせています。車を貸した人がこれに当たるかどうかは、誰のために、どのように車が使われていたか、貸した経緯、貸主と借主との関係、車の管理の状況などによって判断され、条文だけでは決まりません。貸したから責任を負わない、とも、貸したから必ず責任を負う、とも言えないのが実情です。責任があるかどうかは、こうした事情を総合して、個々の事案ごとに判断されます。

この不確かさがあるからこそ、貸す前の取り決めが重要になります。事故が起きたとき、貸主と借主のあいだで、費用をどう分けるか、保険をどの順序で使うか、連絡をいつまでにどこへするか、を決めておけば、少なくとも当事者間の争いは減ります。被害者など第三者に対する責任そのものは、当事者間の取り決めでは動かせませんが、当事者間の負担の調整はできます。

事故・故障のときに書面で決めておきたいこと

場面決めておくこと考え方
事故が起きた直後運転者は、直ちに運転を止めて負傷者を救護し、危険を防止し、警察に報告する。貸主への連絡の期限(その日のうちなど)と連絡先を決める。運転者の措置義務は道路交通法72条1項に定めがある。連絡の取り決めは、その後の保険請求の準備にもなる。
相手方への賠償借主が運転中に生じた損害の賠償は、まず誰の保険を使うか、保険で足りない部分を誰が負担するか。保険の運転者の範囲に当たらない場合の負担を、あらかじめ決めておく。
車の修理車の損傷の修理費を誰が負担するか。通常の使い方による劣化と、事故による損傷を分ける。民法上、借主は借用物に生じた損傷を原状に復する義務を負う(599条3項)。ただし、借主の責めに帰することができない事由によるときは除く。
故障借りている間に故障したとき、借主が自分で修理してよいか、貸主に連絡して決めるか。通常の必要費は借主負担(595条1項)。それ以外は協議する旨を書く。

違反と放置違反金:駐車違反は誰に請求されるか

貸した車の駐車違反の通知が、貸主に届くことがあります。放置違反金の制度のためです。

条文道路交通法

  • 51条の4第1項警察署長は、違法駐車と認められる放置車両に、放置車両の確認をした旨と、車両の使用者が放置違反金の納付を命ぜられることがある旨を告知する標章を取り付けさせることができる。
  • 同条4項公安委員会は、放置車両と認めるときは、当該車両の使用者に対し、放置違反金の納付を命ずることができる。ただし、標章が取り付けられた日の翌日から起算して30日以内に、違法駐車行為をした者が反則金を納付した場合や、公訴を提起されるなどした場合は、この限りでない。

放置違反金の額は、別表第一に定める範囲で政令が定めます(同条8項)。金額はここでは取り上げません。条文は要旨で記載しています。

放置違反金は、違反をした運転者ではなく、車の「使用者」に納付が命じられる制度です。ただし、標章が取り付けられた日の翌日から30日以内に、違法駐車をした者が反則金を納付したときなどは、使用者に対する放置違反金の納付命令の対象から外れます(同条4項ただし書)。貸した車で借主が違法駐車をした場合、借主がその期間内に反則金を納付すれば、使用者である貸主に放置違反金が命じられることはありません。借主が反則金を納付しないまま、貸主に納付命令が届くと、貸主が納付を求められる立場になり得ます。

この仕組みから、書面に入れたい取り決めは次のとおりです。

  • 借りている間の駐車違反・速度違反などの違反の責任は、運転者である借主が負う。
  • 違反の通知が貸主に届いたときの扱い(借主に速やかに連絡する。借主が反則金を納付する。納付できないときの連絡方法)。
  • 貸主が放置違反金等を立て替えた場合に、借主が貸主に償還する旨。
  • 貸主に通知が届く場合に備えて、借りた期間と運転者を、書面で特定しておく。

貸した期間と運転者が書面で特定されていれば、通知を受けた貸主が、その時点で誰が運転していたかを説明しやすくなります。

民法のルールを車に当てはめる:用法・費用・原状回復・請求の期間

無償で車を貸す場合は、使用貸借の民法のルールが基本になります。車に関係する主なルールを確認します。

条文民法

  • 594条1項借主は、契約または目的物の性質によって定まった用法に従い、使用・収益をしなければならない。
  • 594条2項・3項借主は、貸主の承諾がなければ、第三者に借用物を使用・収益させられない。違反したときは、貸主は契約を解除できる。
  • 595条1項借主は、借用物の通常の必要費を負担する。
  • 599条借主は、受け取った後に附属させた物を、終了時に収去する義務を負う。受け取った後に生じた損傷は、終了時に原状に復する義務を負う(借主の責めに帰することができないときを除く)。
  • 600条1項契約の本旨に反する使用・収益によって生じた損害の賠償と、借主が支出した費用の償還は、貸主が返還を受けた時から1年以内に請求する。

594条2項は、車で特に意味を持ちます。借主が、自分が運転する前提で借りたのに、別の友人や家族に運転させた場合、貸主の承諾がなければ、第三者に使用させたことになります。保険の運転者の範囲から外れる場合も多いため、「借主以外は運転しない」という取り決めは、民法の観点からも、保険の観点からも意味があります。

599条は、借主が後付けした物に関わります。借りている間に、ドライブレコーダーやカーナビを取り付けた場合は、返すときに取り外す義務があります(できるとき)。取り付けた跡や傷は、原状に復する対象となり得ます。事前の承諾を得て取り付けるか、取り付けないか、を決めておきます。

書き方の例(一般的な例) 車の貸し借りの書き方

運転者

よくある書き方「友達に貸します」
整えた書き方「運転するのは借主本人のみ。別の人が運転する場合は、事前に貸主の承諾を得て、氏名と免許を確認する」

理由運転者が増えると、保険の対象外になる場合があり、594条2項の第三者への使用にも当たり得ます。

費用

よくある書き方「かかったお金は借りた人が出してね」
整えた書き方「燃料代・高速道路料金・駐車料金は借主が負担。車検・定期点検・保険料などの維持費は貸主が負担。借主は貸主から使用料その他の対価を受け取らない」

理由費用の区別を明確にし、無償であることも明記します。

違反と事故

よくある書き方「何かあったら連絡して」
整えた書き方「事故・違反があったときは、その日のうちに貸主へ連絡する。駐車違反の反則金は借主が納付する。保険で補償されない損害は、借主の運転に起因するものは借主が負担する」

理由連絡の期限と負担者を決めておくと、後の精算が早くなります。

返却

よくある書き方「返すときはきれいにしてね」
整えた書き方「返却時は、給油して返す。車内の私物を持ち帰る。傷は貸主と借主が一緒に確認し、写真を残す」

理由「きれい」の水準が曖昧だと、認識がずれます。具体的な行動に落とします。

場面別:車・バイクを貸すときに起きがちなことと、書面に残す項目

旅行や出張の間だけ貸す

起きがちなこと予定より返却が遅れる。遠方で故障や事故が起きる。運転者が途中で交代する。

書面に残す項目貸す期間と返却の日時・場所、遠方での故障・事故の連絡先、運転者の交代の可否、延長するときの連絡。

家族・同居人に貸す

起きがちなこと家族だから、と運転者の範囲や保険の確認が省かれる。違反の通知の扱いが決まっていない。

書面に残す項目運転者の範囲、保険の対象、違反の反則金の負担者、通知が届いたときの連絡。

バイク・原付を貸す

起きがちなことヘルメットなどの装備が貸主の物か借主の物かが曖昧。原付は、原動機付自転車として自賠責の対象であることが見落とされる。

書面に残す項目装備品の目録、自賠責と任意保険の確認(自賠法2条1項は原動機付自転車も「自動車」に含める)、運転者の免許の区分。

車の一部機材を一緒に貸す

起きがちなことチャイルドシート、ドライブレコーダー、荷台の固定具などの付属品が戻らない。

書面に残す項目付属品の目録、取り付けた物の収去(民法599条1項)、取り付け跡の扱い。

事業として貸す場合や、継続的に対価を得る形は、このページの対象外です。

これらの場面は、いずれも「貸す前に決めておけば避けられた」性質のものです。車の貸し借りでは、運転者の範囲と保険の確認が、他の物の貸し借りの場合に比べて、事後の影響が大きい項目です。貸す物が車である以上、貸す側の「友人だから大丈夫」という信頼だけに頼らず、書面で確認する項目を決めておくことが、結果的に、友人関係を守ることにもつながります。

返却の確認と、確認の問い

返却時の確認は、車の貸し借りでは特に重要です。傷や故障は、貸した側が返却時に見落とすと、その後で「いつ付いた傷か」の争いになりやすいからです。返却後の請求の期間(民法600条1項:返還から1年以内)にも関わります。

車の貸し借りの確認の流れ

  1. 貸す前免許・保険を確認し、貸す期間・運転者・費用の分担を書面にする。車の傷・内外装・走行距離・燃料の量を写真で記録する。
  2. 貸す日鍵と車検証・保険証券の写しを渡す。書面に署名する。借主が車の状態を確認する。
  3. 貸している間事故・故障・違反が起きたら、その日のうちに連絡する。運転者を変えるときは事前に承諾を得る。
  4. 返すとき燃料・清掃・私物・傷を一緒に確認する。走行距離を記録する。返却を確認したことを書面かメッセージで残す。

返却確認書の項目は返却の確認と、返してくれないときのページ、費用の分担の全般は貸し借りの費用と、壊れた・汚れたときのページで扱います。

確認の問いと理由車を貸す前の確認の問い

  1. お金を受け取る合意になっていないか。

    実費の精算を超えて使用の対価を受け取ると、有償貸渡しの規制(道路運送法80条1項)が問題になり得ます。

  2. 運転する人の免許と、飲酒していないことを確認したか。

    提供する側にも罰則があり(道路交通法64条2項・65条2項)、事故の危険にも直結します。

  3. 貸主の任意保険の運転者の範囲に、借りる人が当たるか。

    当たらないと補償されないことがあります。保険証券と約款で確認します。

  4. 事故・違反のとき、誰が連絡し、誰が負担するかを決めたか。

    放置違反金は車の使用者に命じられ得ます(道路交通法51条の4第4項)。連絡と負担の取り決めがあると精算が早くなります。

  5. 貸す前の車の状態を、写真と書面で残したか。

    返却時に傷の有無を比べられます。返還から1年以内の請求の期間(民法600条1項)にも関わります。

起きがちなこと

  • 貸主の保険の運転者の範囲外の人が運転して事故を起こし、補償の対象にならない。
  • 貸した車の駐車違反の通知が貸主に届き、借主が反則金を納付しないまま時間が過ぎる。
  • 借主が別の友人に運転させた。承諾はなく、保険の対象外だった。
  • 実費のつもりで定額を受け取り続け、有償貸渡しとして問題になり得る形になる。
  • 返却時に傷を見落とし、後から「貸す前から傷があった」と主張されて、立証できない。

借りた車が勝手に売られた、貸主や借主が亡くなった、返してくれない、といった場面は、売却と所有権のページ、死亡・共有のページ、トラブルになったとき・よくある質問のページが入口です。

よくあるご質問

友人に車を貸して、ガソリン代をもらってもよいですか。

借りた人が自分の利用に伴って払う燃料代は、使用貸借の通常の必要費として借主の負担と整理できます(民法595条1項)。ただし、使用の対価として貸主がお金を受け取る形になると、自家用自動車の有償貸渡しの規制(道路運送法80条1項)との関係が問題になり得ます。条文は『業として有償で』と定めていますので、反復継続して対価を得る形は避け、個別の事情は条文と所管官庁の資料で確認する必要があります。

貸した車で事故が起きたら、貸した私も責任を負いますか。

自動車損害賠償保障法3条は、自己のために自動車を運行の用に供する者に責任を負わせています。貸した人がこれに当たるかは、貸した経緯、車の管理状況、貸主と借主の関係などの事情で判断され、条文だけでは決まりません。貸したから必ず責任を負う、とも、負わない、とも言えません。貸す前に、事故のときの連絡と負担を書面で決めておくことが現実的な備えになります。

免許のない人や、お酒を飲んだ人に車を貸すとどうなりますか。

運転免許を受けずに運転することとなるおそれがある者への車の提供は禁止されています(道路交通法64条2項)。提供を受けた者が実際に無免許運転をした場合、提供した人は3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象になります(117条の2の2第1項2号)。酒気を帯びている者への提供も禁止されており(65条2項)、実際に酔った状態で運転した場合は5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象となります(117条の2第1項2号)。

借りた車で駐車違反をしたら、貸した私に請求されますか。

放置違反金は、車の使用者に納付が命じられる制度です(道路交通法51条の4第4項)。ただし、標章が取り付けられた日の翌日から30日以内に、違法駐車をした者が反則金を納付した場合などは、納付命令の対象から外れます。借主が反則金を納付すれば貸主には命じられませんが、納付されないと貸主に通知が届くことがあります。違反の責任は借主が負う、通知が届いたら連絡する、といった取り決めを書面に入れておきます。

車の貸し借りで、書面に最低限入れる項目は何ですか。

車の特定(車種・登録番号)、貸す期間、運転する人の範囲、免許の確認、保険の内容、費用の分担(燃料・駐車・高速・維持費)、事故・違反のときの連絡と負担、返却時の確認(燃料・清掃・傷)を、まず入れておくとよいでしょう。無償であることも明記します。

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本ページは一般的な情報提供です。個別の貸し借りへの当てはめは、貸す物や場所、当事者の関係、合意の内容によって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の当事者や取引を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索(法令API)で確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 法務省 / 国土交通省 / 裁判所

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